2019年 06月 13日
ドットール。町のお医者さんの待合室。 |
「イタリアは医療費が無料なんだよね。」
懇意にしてくれていた医師のご夫婦とローマでご一緒した際に言われた言葉。
「え、そうなんですか?」
イタリアに住んですでに一年近くになる頃だったが、体が丈夫だったためと、学生身分の滞在許可証だったため、よく知らなかった。
イタリアで就職をすると、ASL(アズル)という機関から健康保険証の支給を受けることができる。
TESSERA SANITARIA(テッセラ・サニタリア)といい、医者にかかるときや薬局で薬を買うときに使う。もちろん身分証明書にもなる。
私もその後パートタイムで就職したため、様々な書類を準備してテッセラ・サニタリア発行の手続きのためにASLへ行った。同僚のミレーナから「手続きの時、住んでいる地域担当の医師の中から自分のホームドクターを指定なくてはならない」と知らされていた。「ドットール・バルドゥッチがいいよ」と勧めてくれたので、その名をASLで伝えるとすんなり登録してくれた。「ドットール」とはお医者さんの称号「ドクター」のこと。(その他、大卒の人にも使う。)
町のお医者さんの待合室では独特のルールがある。
診療所の待合室に受付係はいない。
部屋に入ると、順番待ちの先着が7~8人は座っていることが多いが、まず「Chi è l'ultimo? (最後は誰ですか?)」と部屋中の皆に問う。そうすると、無言で一人がスッと手を上げたり、「Sono io.(私です)」と答えてくれる。
あとは自分も座って待ち、自分の前の人の次にお医者さんに診てもらうという訳だ。
後続の人が入ってきて「Chi è l'ultimo?」をしたら、当然自分が「私です。」と答えなければいけない。
風邪をこじらせた時、湿疹が出た時、医者の処方箋が必要な時…いつもドットール・バルドゥッチを訪ねた。
日に焼けたイケメンで、物静かに黙々と診察をこなす、私のようなイタリア語がお粗末だった外国人にも辛抱強く優しく接してくれた先生だ。
そのバルドゥッチ先生に診療所以外でたまたま会ったことがある。
働いていたエノテカで、医師会の打ち上げなのか、割と遅い時間でテラスを貸切にした大グループのアペリティーヴォを承った。
その中にドットールがいたので、サーヴィスをしながら挨拶をした。
「君はここで働いていたんだ!」「そうなんですよ!」
会話はそれだけだったけど、少しリラックスしたドットールを垣間見れたのは、サーヴィス業の嬉しい一面だった。
ベルガモTVにドットール・バルドゥッチが出演されていたのでリンクします。
3:38からです!
by quilitalia
| 2019-06-13 23:05
| イタリア就労